【全試合観戦】FIFAワールドカップ2018ロシア大会のまとめ

FIFAワールドカップ2018ロシア大会はフランスの優勝で幕を閉じました。
全64試合を観戦した私が、今大会の内容を振り返ってまとめました。

これを読むと、全試合観戦していなくても詳しく語れるようになりますよ。

FIFAワールドカップ2018出場国のサッカーの傾向について

今大会も近年の傾向通り、カウンター重視のチームが多かった。
攻撃に時間がかかると相手の守備の陣形が整ってしまうため、崩すことは大変になる。
コーナーキックやフリーキックから得点する割合が多いのもこのためだ。

堅守速攻は、言い換えれば、負けないサッカーだ。
グループリーグで敗退したチームでも、イラン、コスタリカ、ペルーなどは善戦していた。

一方で攻撃に時間がかかっていたチームとして、ドイツ(グループリーグ敗退)やアルゼンチン(ベスト16敗退)が挙げられる。
スペイン(ベスト16敗退)も近距離でパスを回すため自ずと攻撃に時間がかかるが、彼らのパス回しのテクニックを以っても相手の守備を崩すことに苦しんだ。

FIFAワールドカップ2018上位進出チームの戦いぶり

グループリーグを観戦し終えた時点での優勝予想は「ブラジル対ベルギーの勝者」だった。
勝ち上がっていくにつれて警告や怪我で出場できない選手が出てきても、チーム力が落ちない選手層を考えての予想。
グループリーグを終えた時点では、フランスが決勝まで勝ち残ることは予想外だった。
上位チームを中心に、グループリーグと決勝トーナメントの戦いぶりを振り返る。

フランス(1位)

グループリーグでは得点力に不安を感じる内容が多く、僅差の試合を競り勝ってきた。
個々の選手の能力が試合を重ねるごとに融合し、強いチームへと変貌していった。
スターティングメンバーを固定しており、特にカンテは準決勝まで全試合フル出場だった。
グループリーグ第3戦を除く全試合において、リードした状態で選手交代し逃げ切る試合展開を実現できたのは、カンテ、ポグバ、マテュイディといった選手の強固な中盤構成が不可欠だった。
そして、グリーズマンやエムバペが状況に応じてボールキープ・パス・ドリブル・シュートを使い分けるバランス感覚も素晴らしかった。
さらにはデシャン監督の統率力と采配も大きい。
決勝ではカンテ交代後に、モドリッチが高いポジションを取ったことで空いたスペースを突いたことが勝敗を大きく左右した。

クロアチア(2位)

グループリーグでは盤石な戦いで全勝してきたが、決勝トーナメント進出後は3試合連続して120分を戦った。
決勝トーナメントではいずれの試合も先制されたが、粘り強く戦い勝ち抜いてきた。
モドリッチ、ラキティッチ、ペリシッチ、など、全員がチャンスを作れて得点できる選手で、誰もがフラフラになっても肝心な場面でダッシュするタフさを持っていた。

ベルギー(3位)

大会を通して攻撃力は圧倒的だった。
カウンターも鋭かったが引いた守備を崩す攻撃力も抜群だった。
グループリーグで23人全員を出場させたが、誰が出場してもチームのレベルが落ちないだけの選手が揃っていた。
準決勝では先制されてから攻めあぐねて、フランスの守備を崩し切れずに敗退。
先制点の重要性を感じた試合だった。

ブラジル(ベルギーに準々決勝で敗退)

スターティングメンバーを固定して戦っていたが、準々決勝でカゼミーロが累積警告により出場できなかったことは痛かった。
また、攻撃的な選手の好不調の波が大きかったことも大会を通じて目立った。

コロンビア(イングランドにベスト16で敗退)

ハメス・ロドリゲスが万全なコンディションではなく、キンテロやグアルダードに負担が大きかった。
初戦の日本戦で狂った計画の立て直しのしわ寄せが後々に及んだかも知れない。

日本がFIFAワールドカップ2018で得たもの・失ったもの

日本の戦いを振り返り、得たもの・失ったものをまとめた。

  • コロンビア戦
  • 偶然の幸運によって有利な状況から試合を始められたが、10人相手に日本は11人でようやく互角だった。
    シュートを打って攻撃を終えてもカウンターを受けるなど、攻守の切り替えが遅かった。

  • セネガル戦
  • 良く言えば競り負けていない、悪く言えば勝てる試合だった。
    日本ペースの時間帯に決定機で得点できず勝ち越しを許す試合展開は日本らしかった。

  • ポーランド戦
  • スターティングメンバーを大幅に入れ替えたことでこれまでの2戦とは別チームになっていた。
    勝ち点4で決勝トーナメント進出できたことは運が良かった。

  • ベルギー戦
  • 前半の序盤は日本ペースで試合を運ぶ見事な試合展開だった。
    ベルギーにコーナーキックからペースを奪われていった。
    後半に立て続けに2点を取ったが、ミスから与えたコーナーキックをきっかけに2失点し、最終的に逆転を許した。

得たもの

  • 柴崎岳の存在
  • 今大会前の親善試合では、攻撃のスピードが遅く相手に読まれた後にボールを回す展開だった。
    大会直前のパラグアイ戦で控えからスタメンに抜擢され、視野の広さを活かした展開力・的確な読みと判断力は攻守に際立っていた。
    大会本番で全試合にスターティングメンバーとして出場したことは、欠かせない選手であることの証だ。

失ったもの

  • ベスト8進出
  • 先制してから逆転負けした試合をワールドカップで経験してきた。
    (近年だと、2014年ブラジルでコートジボアールに1-2、2006年ドイツでオーストラリアに1-3、など)
    日本がどこで追いつかれるのか気にかけながら観戦していた。

    2点差で勝っていても、試合中に笑顔になっている選手など強豪国では見たことがない。
    試合終了の笛が鳴るまで、味方への指示や要求、敵の一瞬のスキを見落とさないことに真剣だからだ。

    世界レベルになるとミスは時として命取りになる。
    ミスをきっかけに与えたセットプレーで失点していては、強豪国には容易に勝てない。

  • 若手選手の出場
  • 今大会は前回大会の選手が主体で、選出段階から若年選手が少なかった。
    2016年リオ五輪の選手は、中村航輔、植田直通、遠藤航、大島僚太の4人だが、今大会には誰も出場しなかった。
    次の大会までどのように選手に経験を積ませてチームを作り上げていくのか、世代交代という課題が先送りされた。

FIFAワールドカップ2018で印象に残ったこと

印象に残ったのは、華麗な足技でも、美しいゴールでもない。
小国の選手の勝利への執着心だ。

以前から感心しているが、ウルグアイほどの強豪国であっても、選手は体勢を崩しても、這ってまでボールを奪いに行こうとする。
優勝したフランスは人口6700万人だが、準優勝のクロアチアは420万人、ウルグアイは340万人の小国だ。

スポーツに心を動かされるのは、積み重ねた努力が成果として表れた時だ。
ただし成果は必ずしも勝利として確約されていない。善戦や健闘で終わるかもしれない。
それでも勝利を得るために、選手は必死に挑む。
だからこそ、選手を応援したくなる。

私はそのようなプロフェッショナル意識の真髄をスポーツに求めていることを改めて感じた。